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2006年 08月 06日
源羅氏@mixiに勧められた漫画「もやしもん」にすっかりハマり、微生物飼ってるウチの研究室に持っていったら受けるかなと思っていたところに同僚がタイミング良く布教してしまったりした今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この手の蘊蓄漫画は、知っていれば知っているほど楽しめるものです。いやまあ知らなくても十分楽しめる漫画なんですけどね。というわけで、枠外に毎回出てくるけど何となくアカデミックな雰囲気を楽しむだけになっている”ヤツら”の学名についての蘊蓄を増やしましょうのコーナー!何、読んだこと無い?バカヤロとっとと書店に走って3巻まとめて買ってこーい!お酒をはじめとする発酵食品と微生物と微生物が肉眼で見える主人公と農業大学のお話だぁ。これを読めばあなたの口癖に「かもすぞ」が追加されること間違いなし! 科学が未発達だった時代、学問の世界では物の名前というのは必ずしも統一されていませんでした。一つには名前を付けるための統一されたルールが無かったこと、もう一つは自分の研究成果を他人に盗まれにくくするためであったと言われています(錬金術などは特に秘密主義が強かった)。 また違う言語の間では同じような物を指していても厳密には少し違っているというケースもあり(たとえば漢語の蝶と蛾・英語のbutterflyとmothは別物。現代日本語はほぼ英語と等しい)、学問の発展のために国際的にコミュニケートする為には統一された名前が必要ということもありました。 そこでリンネという学者が生物種の学問的な命名法を決めました。これが現在でも使われている学名です。 生物種の名前は二名法で表現されます。その生物が分類学的に属する属(かなり近い類縁グループ)の名前と種の名前(これを種小名と呼ぶ)の組み合わせです。たとえば酵母はSaccharomyces cerevisiaeで、Saccharomyces属のcerevisiae種であるという事が分かります。本当はこの後に命名者の名前が入るんですが、普段は無視されることが多いです。難しそうですが、和名(日本語での生物の名前)でも「チャバネ・ゴキブリ」とか「ワモン・ゴキブリ」みたいに二名法っぽく表現される事が多いですね。学名の語順だと「ゴキブリ・チャバネ」という感じになりますが、確か種名の品詞は形容詞で、ラテン語属では形容詞が名詞の後に来ることが多いはずなので、この書き方だと「チャバネのゴキブリ」という意味になりますな。そうそう、論文で書くときは学名は必ず斜体字(イタリック)で記述して下さい。下線引いてもいいらしいけど今までほとんど見たこと無い。 学名に使える言語はラテン語と古代ギリシャ語です。どちらも、現代ではこれを生活に用いている人がいないので言葉が変化する恐れが無いということで選ばれています。ちなみに知り合いの教授で、種小名に古代ギリシャ語の接頭辞とラテン語の形容詞をくっつけて作ったという人がいますが、これは命名者の特権で通ります(推奨はされません。本人も意識せずにやっちゃったとの事)。ラテン語でない人名などをラテン語の形容詞化(語尾にiを付けるのかな)して名前を付けることもよくあります。たとえばキムラホタテガイはMizuhopecten kimuraiです(多分そういうのがあるだろうなーと思って"kimurai"でぐぐったら本当にあった)。 学名は既に死んでいる言語で作りますので、本当の読み方は誰も知らないということになっています。だからどう読んでも構いません。ラテン語風に読んでもいいですし、英語風に読んでもいいです。大腸菌(Escherichia coli)は「エシュリヒア・コゥライ」「エシェリキア・コリ」などなどいろいろバリエーションがあります。エスケリッチアと呼んでる人もいるそうな。通じる限り大丈夫です。 学名からはそいつの性質なんかを想像できることがあります。A.オリゼーはOryza=イネの属名から来ていますしA.ソーエはSoy=大豆と関係があることが分かります。S.エピデルミデスというのも、epiderm=表皮と知っていればどんな菌かは想像が付きます。属名が-coccusなら球菌で-bacillusなら桿菌とか。この辺は雑学を総動員して読み解くとただの暗記モンにならず楽しめます。 二名法をいちいち正式名称で書いていると面倒なので、論文で何度も出てくるような場合には属名をイニシャルだけで書くことが多いです。大腸菌などはあまりに有名なので、みんなE. coli(イーコリ)で通じます。もやしもんの欄外もスペースが小さいからよくそう記述していますね。でも本当は初出時にはきちんと書かないと分からなくなりますのでほどほどに。 そんなわけでもやしもんの頻出属名 Aspergillus(作中ではウーパールーパーみたいな奴。コウジカビ。普通はアスペルギルスと呼びます。) Bacillus(納豆菌・枯草菌。バシラスと読む人もいるけどバチルスの方がメジャー) Lactobacillus・Lactococcus・Bifidobacterium・Pediococcus・Leuconostoc(乳酸菌。ほら、L.とか略されてもどいつか分からないでしょ?ちなみに最後の二種は漬け物系。ヒオチもLactobacillus属。第二話でS.ラクチスと書いてあるのはLactococcusに分類されることもあるとか) Penicillium(アオカビ。ペニシリンの名前はここから来ている。) Mucor(ケカビ) Salmonella(ブドウ球菌。ブドウ球菌といえば病原菌だと思ってしまいますが、S.エピデルミデスもこの仲間。顕微鏡を覗くとブドウの房状に固まっている球菌がここに分類される。) Acetobacter(酢酸菌。アセチかわいいよアセチ。) Enterococcus(腸球菌。1巻のヨーグルトのE.フェカリスと病院のVRE(vancomycin-resistant enterococci:バンコマイシン耐性腸球菌)が同じ属だとは。) Cladosporium(黒色真菌だが和名無し)
by sotono_hito
| 2006-08-06 11:20
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